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Vol.01

今月からはじまりました。
健康まめ知識のコーナーです。
今、話題のトピックスや健康に関する話題をお届けします。

今月の話題は何と言っても”PM2.5″の話題です。
ここでは、PM2.5の本当の問題点と対応策について考えてみたいと思います。


そもそもPM2.5とはどういうものなんでしょうか?

実はPMというのは、微小粒子状物質(Particulate Matter)といい、一般的にはマイクロメートル (μm) の大きさの微粒子のことをいいます。つまりPM2.5というのは2.5μm以下の粒子の総称です。PM2.5は髪の毛の太さの1/30以下の小さな粒のこと。 中国の大気汚染物質のイメージの強いPM2.5ですが、主に、ボイラー、焼却炉などのばい煙を発生する施設、コークス炉、鉱物の堆積場等の粉じんを発生する施設、自動車、船舶、航空機等の排出ガス、人為起源のもの、さらには、土壌、海洋、火山等の自然起源のものもあります。

例えば今の時期に流行するスギ花粉ですが直径約30μmと10倍以上も大きい!鼻水や目のかゆみ、涙などあんなにひどい症状を感じる花粉よりもとっても小さいんです。そりゃあ肺の奥まで入りますよね。

ちなみにさらにまめ知識。この花粉症シーズンに喘息症状が悪化する方がいますが、その原因は花粉そのものではなく、その表面に付着している微粒子(オービクル)が剥がれて下気道に侵入する事で喘息が誘発されるのです。
この微粒子は直径約1~数μmとほぼ、PM2.5と同じサイズです。やはり、PM2.5が侮れない事がわかりますね。

まずは、環境基準についてお示しします。

従来この大気汚染に関しての基準はPM10について設定されていました。(10μm以下のものPM2.5はそれよりもさらに小さい)PM2.5については1997年にアメリカで初めて環境基準が設定されて以降世界の多くの地域で大気汚染の基準とされています。日本ではその設定が遅く2009年に初めて設定されました。

国外での環境基準はどうなっているのでしょうか?

日本国内を見てみますと平成21年9月に以下のように設定されました。これは米国の基準と同じ基準になっています。

1年平均値 15μg/m3以下 かつ 1日平均値 35μg/m3以下

最近ニュースを騒がせている外出抑制などの注意喚起は平成25年2月27日に新たに指針が出されたものです。

<参考リンク>
環境省ホームページ
PM2.5に関するQ&A(環境省)
WHO アメリカの基準

ところでPM2.5による被害についてはどうでしょうか?

PM2.5は非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、気管支喘息、肺ガン、肺気腫など呼吸系への影響に加え、心臓病のほか脳卒中などの循環器系への影響が知られています。

PM2.5 と死亡率の相関図

PM2.5が多いと、心臓病や喘息、肺ガンなどが増え、死亡率が高まります。
アメリカなどでの調査によると、PM2.5が10μm/m3増えると、心臓や肺の病気の死亡率が9%、肺ガン死亡率が14%、全死亡率が6%増えます(下表)。
大気汚染はすべての住民に影響しますから、PM2.5 がわずか10μm/m3増えるだけで、その地域の住民の死亡率が6%増えるという深刻な事態が起きます。

※PM2.5による死亡率増加度
【出典】Arden Pope III C, et al. Lung Cancer, Cardiopulmonary Mortality, and Long-term Exposure to Fine Particulate Air Pollution.JAMA. 2002;287:1132-1141.

次に米国の環境保護庁が作った空気の質ガイドラインを紹介します。
右2列は、前に述べた世界保健機関のリスク評価に基づいた死亡率の増加度を示しています。
これをみると、空気の質レベルが悪化すると死亡率が増加する事がわかります。
緑なら良好黄色は弱者に影響のおそれ、赤は多くの人々に危険というレベルです。北京周辺のPM2.5は最下段の緊急事態のレベルです。

<参考リンク>
【出典】受動喫煙ファクトシート2:敷地内完全禁煙が必要な理由(日本禁煙学会ホームページ)

これまでの研究知見から、屋内の PM2.5 濃度は屋外の PM2.5 濃度に比べて低い傾向にあることが知られているため、PM2.5 対策として屋外活動を控えることは 有効と考えられます。
したがって、PM2.5濃度が暫定的な指針となる値を超えた場合には、屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは有効です。
その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入を減らすことに留意することが必要です。
特に喘息患者さんや心臓病患者さんなど高感受性者においては、体調に応じて、より慎重に行動することが望ましいでしょう。


《参 考》-その他の対応措置について-

マスクの着用
PM2.5 に対して、高性能な防じん(小さな粒子の吸入防止用)マスクは、微粒子の捕集効率の高いフィルターを使っていて、微粒子の吸入を減らす効果があります。但し、マスクを着用する場合には顔の大きさに合ったものを、空気が漏れないように着用しなければ十分な効果が期待できません。一方、着用すると少し息苦しい感じがあるものは、長時間の使用には向いていません。また、一般用マスク(不織布マスク等)には様々なものがあり、PM2.5の吸入防止効果はその性能によって異なります。取扱説明書などを確認するようにしましょう。

空気清浄機
PM2.5に対する空気清浄機の除去効果については、フィルターの有無や性能など機種によって異なります。一部製品については性能試験により一定の有効性が確認されていますが、個別の製品の効果に関する詳細については、製品表示や販売店・メーカーに確認する必要があります。

日常の健康管理
高感受性者においては、健常者に比べて影響が出やすく、個人差も大きいと考えられるため、日頃から健康管理や禁煙に努めるとともに、体調の変化に注意するこ とが大切です。
特に呼吸器系や循環器系の疾患を有する小児や高齢者においては、保育所、幼稚園、小学校、高齢者施設等と健康状態に関する情報を共有しながら、日常の健康 管理を行うことが望ましいでしょう。

宮崎県の微小粒子状物質(PM2.5)に対する注意喚起について

宮崎県が下記の判断基準により注意喚起を行います。

●当該日の午前5時、6時、7時の1時間値の平均値が85マイクログラム/立方メートルを超えた場合に、1日の平均値が70マイクログラム/立方メートルを超えると予測され注意喚起を行います。
注:1時間値の平均値は測定局単位で計算します。

※現在、宮崎県が延岡保健所測定局と都城高専測定局において微小粒子状物質(PM2.5)の測定を実施しています。測定局のうちいずれか1局でも超えれば県内全域に注意喚起を行います。

●宮崎市の周知方法
宮崎市では県から注意喚起の情報提供を受けた後、直ちに宮崎市ホームページ、宮崎市防災メール、広報車等にて周知いたします。

<参考リンク>
日本気象協会はPM2.5の分布予測を公開しています

ただ、この対策だけで十分でしょうか?

PM2.5の主成分は、元素状炭素(いわゆる黒スス)、有機炭素(芳香族炭化水素などの発ガン物質等)、硫酸イオン、硝酸イオン、アンモニアなどの化学物質と重金属で、タバコの煙も含まれています。
しかも、大気中のPM2.5より、タバコの煙の方が有害性が高く、タバコの煙の中には70種類に近い発ガン性物質があるといわれています。

下の図はPM2.5の主な排出元であるタバコの煙に関連する項目をグラフに示したものです。

せまい車内での喫煙によるPM2.5濃度は凄まじいですね。
ここで言いたいのは国内で外出規制をされる70と言うのは、北京の700の1/10程度。実際には禁煙の規制をしていない居酒屋や喫茶店、ましてや設置された個室の喫煙場所では北京と同等のレベルまでPM2.5は達しているということです。つまり外出しなくてもタバコの存在があれば屋外よりも危険度が高い可能性があると言う事です。

<参考リンク>
日本禁煙学会 受動喫煙に関する調査(PDF)

例えばこんな喫煙所では中が見えないほど煙っています。

屋外でもこんな場所は煙たいですよね。
北京は街中がこんな感じですからやはり異常な状況ですね。

特殊な機械を通して見ると喫煙時の煙はこんなに大量に排出されています。少し離れているくらいでは煙から逃げる事はできません。

こういう上司のデスクを掃除させるのは勘弁してほしいですよね。

つまりなにが言いたいか?
PM2.5をきっかけにタバコの被害について考えてほしいと言う事なんです。

タバコを吸っているのと変わりないなら問題ない」ではないんです。

やはりPM2.5をきっかけに今までわかっていたけど行動に移せなかった事を行動に移しましょう!

禁煙が大切な事は間違いないですが、周囲の方を禁煙させる事は難しいです。まずは、自分でできる事、例えば家族で外食をするときは禁煙のお店を選ぶとか職場内での禁煙、分煙を提案するとか。

そんなときにはこの資料を提出しても良いと思います。

<参考リンク>
【PDF】JTとのやり取り