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Vol.07

便秘とは、便の水分が少なくて硬く、お腹の中に滞ってい ることで排便がしにくい状態です。
ただし、毎日排便があったとしても、苦痛や残便感があると便秘といえます。逆に毎日便通がないとしても、スムーズに排便できていれば便秘とはいえません。


便秘の種類

便秘は、大きく「機能性便秘」と「器質性便秘」に分けられます。

 ・機能性便秘

「機能性便秘」とは、消化器官(胃、小腸、大腸など)の機能低下が原因で 便秘になるものをいいます。一般的に便秘と呼ばれるのは、機能性便秘のことです。
「機能性便秘」は、さらに大きく「一過性便秘」と「習慣性便秘」に分けられます。

一過性便秘

「一過性便秘」とは、普段と生活リズムが変わったときになる便秘です。例 えば、ダイエットで食事内容の変化、旅行、進学や就職での生活環境の変化などが原因となります。

・ 習慣性便秘

「習慣性便秘」は、生活習慣が原因となって日常的に起こる便秘で、「弛緩性便秘」、「痙攣性便秘」、「直腸性便秘」の3種類があります。

・ 弛緩性便秘

「弛緩性便秘」とは、大腸の蠕動運動が弱くなり、筋力の低下で便を押し 出すことができなくなるために起こる便秘で、高齢者や内臓を支える筋力が弱いため内臓が下垂している方、出産を経験した直後の方に多く見られます。

・ 痙攣性便秘

「痙攣性便秘」とは、心理的ストレス等により自律神経が乱れ、腸の一部が けいれんを起こし、腸の蠕動運動が強くなりすぎてしまったために起こる便秘で、主に精神的なストレスを抱えている方に多く見られます。

・ 直腸性便秘

「直腸性便秘」とは、便が直腸に到達したにもかかわらず、便意が伝わらなくなったために起こる便秘で、仕事などが忙しく便意を我慢する方、肛門の疾患で痛みがあり便意を我慢した方に多く見られます。

・ 器質性便秘

「器質性便秘」とは、病気による原因で起こる便秘で、慢性的なものでは大腸ガンや大腸ポリープ、急性的なものでは腸捻転(ちょうねんてん)や腸閉塞(ちょうへいそく)などの病気が考えられます。

便秘の原因

1. 食物繊維の不足

食物繊維が少ないと、便の量が増加しにくく腸の動きが低下します。また、 乳酸菌などの有益菌が減少してしまいます。

2. 水分の不足

水を飲む量が少ない、発汗が多いなど体内の水分が少ないことにより、便が硬くなります。

3. 脂質の不足

ダイエットなどで脂質を制限すると、便が排出されにくくなります。

4. 運動不足

運動不足は筋力の低下を招きます。特に腹筋が弱い便を押し出せず便秘になりやすくなります。

5. 排便を我慢する

我慢をすると水分が失われたり、便意がなくなったりし、便秘になることが あります。

6. 精神的ストレス

交感神経、副交感神経のバランスが崩れて、腸の活動が低下します。

7. 病気

病気が原因で便秘になる場合があります。また、薬の副作用によって便秘になる場合があります。この場合は、医師、薬剤師に相談してください。

便秘の予防・対策

1. 食物繊維を摂取しましょう

食物繊維には、水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。


腸での作用主な成分主な食品






腸の粘膜の保護や、善玉菌を増やす効 果があり、整腸作用がある。ペクチン(水溶性)熟した果物
グルコマンナンこんにゃく
アルギン酸わかめ、こんぶ、ひじき
イヌリンごぼう、ゆり根
フコイダンもずく、こんぶ






便のかさ増しや、腸を刺激して蠕動運 動を活発にし便通を促進 する。セルロース穀類、豆類、野菜類
ヘミセルロース穀類、豆類、野菜類、海藻類
ペクチン(不溶性)熟していない果物
リグニン穀物の外皮、ココア
キチンえび、かにの殻

食物繊維は上表の効果の他、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの効果も期待できます。不溶性、水溶性にあまりこだわらずに摂取しましょう。
※日本人の食事摂取基準2015年度版の1日の目標量(生活習慣病予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量)は、20~69歳までの方で男性 20g以上、女性18g以上とされています。

2. 水分を多く摂取しましょう

水分は出来るだけ多く摂りましょう。 水分不足から便が硬くなると、便秘の原因にもなります。朝起きたら冷たい水、牛乳等を飲むと腸が刺激され、腸の運動が活発になり、排便したくなります。

1日1.5L~2.0L程度の水分を摂取しましょう。

3. 脂質を適度に摂取しましょう

脂質に含まれている脂肪酸が大腸を刺 激します。また、便の水分が腸に吸収されるのを防ぐ役割や、便をコーティングして滑りを良くする潤滑油の役割を果たし、するんとスムーズな排便を促しま す。過剰な摂取は禁物ですが、良質な脂質を適度に摂取しましょう。

4. 適度な運動をしましょう

現代社会では運動不足の方が多いとい われておりますが、急に激しい運動をすることをせず、年齢、体力に合わせて適切な運動を定期的にするように心がけましょう。排便の際は腹圧を高めて便を排泄しますので、特に腹筋を強くすることを心がけましょう。

5. 排便を我慢しないようにしましょう

便意をもよおした時は、がまんせずに トイレにいきましょう。便意がなくなると排便する機会を失いますので、がまん癖のある人は特にすぐトイレに行くように心がけましょう。

6. ストレスをためないようにしましょう

ストレスも便秘の大敵と言われていま す。ストレスがたまっている方は、スポーツや、趣味を楽しんでストレスを発散しましょう。

7. 便秘薬を利用しましょう

それでも便秘が解消されない場合は、お薬を利用する方法もあります。
便秘の際に使われるお薬としては、「整腸剤」と「緩下剤」があります。

整腸剤
「整腸剤」は腸の働きを正常に戻すために、腸内細菌のバランスを整えます。腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やして、腸内環境を改善する薬です。作用は穏やかなので、きちんと排便できる体になるために、補助的に使用するとよいでしょう。

緩下剤
「緩下剤」はいわゆる下剤のことで、腸を刺激して排便を促すものと、便をやわらかくして排便しやすくするものがあります。

種類作用主な成分
整腸剤腸内環境を整えるビフィズス菌
耐性乳酸菌
ラクトミン
酪酸菌
乾燥酵母





浣腸剤肛門部に、液体を入れて腸の壁の面をすべりやすくする。腸を刺激し、腸の動きを活発にして便を出す。グリセリン
ソルビトール
刺激性下剤腸粘膜を刺激し、腸の蠕動運動を促進する。ビザコジル
センナ
ダイオウ
ピコスルファート
膨張性下剤水分を吸収させて、便をやわらかくする。腸の内容物を膨大させて、腸を刺激し排便を促進する。プランタゴオバタ
カルボキシメチルセルロース
塩類下剤腸の中の水分の再吸収を防ぎ、腸の内容物をやわらかくし、増大させることで蠕動運動を促進する。酸化マグネシウム
硫酸マグネシウム
湿潤性下剤界面活性作用により、便の表面張力を低下させて水分を浸透しやすくし、硬い便を軟化させる。ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)
8. 病気が疑われる際は早めに医療機関を受診しましょう

薬による便秘改善は一時的なものですが、病院へ行って検査をすることで原因となる病気を見つけられる場合もあります。

自分なりの排便サイクルを目安にして、変化がある場合には、便の状態・気になる自覚症状がないかなどをまずチェックしてみましょう。

受診の目安となる症状

  • 食事に気をつけているが、改善しない。
  • 便はなんとか出せるが、いつもお腹が痛む。
  • 残便感があって、すっきりとした排便ではない。
  • 市販の薬を飲んでも効果がない。少し多めに飲んでも同じだ。
  • 最近、便の量がかなり減ってきた。形状も健康な便ではない。
  • 便秘の状態がひどくなってきた。
  • 便が出ても、表面に血がついている、粘液がついている。 以上のような症状が続く場合は、お早めに医療機関を受診しましょう。